あなたと私と嘘と愛
「おはようございます。わこです。頼まれてた物を届けにきました」
「わ、わこちゃんだ!」
それを確認すると、私は突き放した優斗から逃げるように玄関に出た。
背を向けた瞬間優斗の視線を感じたけど、振り返ることはできなかった。
「それじゃあまた来ます。何か困ったことがあればいつでも連絡ください」
そしてわこちゃんは私が頼んだものをドサッと置くと慌ただしくすぐに帰ってしまう。
彼女を見送り大量の荷物を見ると、どっと緊張から解かれたようだった。
けど心拍数だけは速いまま。
ドクドク脈打つ心臓を隠しながら平然を装おい荷物を運ぼうとする、と、
「貸して、手伝うよ」
「…あ、うん」
ひょいっと優斗が私から荷物を奪う。
だからまたドキドキが加速し、優斗の顔が直視できない。
「この荷物はこっちでいいの?」
「あ、これは…」
荷物を全て片付け終えるとすぐ、私は「着替えてくるねっ」とやっぱりろくに優斗と目を合わすことなく自分の部屋に閉じ籠る。