あなたと私と嘘と愛
さっきの光景がよみがえる。
(何だったんだろう、さっきのは…)
キ、キスしそうな勢いだった。
…て、いやいやまさか!
そんなことあるわけない。
あれは何かの間違いだ。
不謹慎にもそんなこと…
だって優斗が好きなのは母だもん。
あれは単に泣いてる娘を慰めようとしただけ。
そうだよ、私が子供のように泣いたから。だから優斗はそんな私を保護者として抱き締めてくれただけ。
深い意味はない。そう、そうに違いない。
けどドキドキは収まらなくて…
それから用心深く見てたけど、優斗の態度は普通だった。
やっぱり私の予想は間違ってない。
特によそよそしい感じもなく私に笑いかけてくる。
だからホッとした。
けどどこか、内心ガッカリしそうになる自分もいて、慌ててそれを心の奥へと押し殺す。