あなたと私と嘘と愛

「お母さん!!」

再び私の口から大声が出た。 
ひどいひどい酷すぎる!
その言葉を聞いた私はカッと頭に血が上る。

「…もういい加減に」

そのあとの行動は早かった。
感情のまま母の目の前まで行くとなりふり構わず目の前の頬を思いっきりひっぱ叩いた。

パシンッ!と音がして手元にあったワインボトルがテーブルから転げ落ちる。
床にワインが流れ溢れ、次第にボトボトと染みていく。
私はそれに気付かないぐらい我を失っていた。

「なっ、あなた!母親に向かってなんてこと!」

「……かじゃないっ」

「えっ」

「あんたなんか母親じゃない!!」

今までで一番の軽蔑を込め、母を睨み付けた。もう、うんざり。
毎回毎回どれだけの人を傷付ければ気がすむのだろう。

「人の気も知らないで男あさりばっかり、今まで母親らしいことなんてしたことないくせに!」

瞳からはより一層涙が溢れ出していたけれど自分ではもう分からない。

ただ悔しくて悲しい…
母に酷い言葉を向けながら、私が思うのは一つだけ。
優斗がくれるあの優しい笑顔。
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