あなたと私と嘘と愛

あり得ない残像が広がり思いっきり顔を横に振った。


「もう、信じられないっ」

「覗かれたのは俺の方なのに、随分な言い方だな…」


そこでガチャリと扉が開いた。
だから私は慌ててその場から離れ振り向いたのだけど、またしても赤面する羽目になる。


「何で服着てないんですか!」

「いや、着てるけど…」

「ちゃんと上も着てください!」


確かに下はデニムを履いているが、上半身は裸のままタオルを首からかけただけの姿だ。

優斗は「だって暑いし」とか言うだけで平然な態度を向けるだけ。
まだ拭いただけの濡れた髪を無造作にかき上げる仕草はまるで余裕の風貌だ。

それが妙に色っぽくて直視できず、2、3歩ずり下がってしまった私を見て彼は無表情のままポツリと言った。


「随分と大袈裟な…」

「これは普通な反応ですよっ」

「過剰反応し過ぎでしょ。何も免疫がないわけじゃあるまいし」


そこでピキッと固まった。
表情がひきつり、気まずい空気に変わっていく。

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