あなたと私と嘘と愛

「…何逃げてんの?」

咎められると思ったら変わらず優しい声だった。けどどこか楽げな様子。
だから余計恥ずかしくなり、真っ赤な顔してうずくまる。

「…亜香里?」

「だって、こんな…」

「ん?」

「自分なのに自分じゃない感覚がする。何かが壊れちゃいそうな…」

酷く苦しい。
それなのに全身に甘い痺れを感じて溜まらなくなる。こんな感覚私は知らない。

…ふ。
けど優斗は嬉しそうに笑った。

「いいんだよそれで。今からそのまんま壊そうとしてるんだから」

「…っ……」

すると、優斗が上半身起こし、自分の服を脱ぎ出す気配を感じた。

真っ暗だからよく分からないけど、バサリ、衣服が脱ぎ落とされる音がしてすぐにソファーの軋む音が。

「亜香里、おいで…」
「…え…」

頭上からやっぱり優しい声がしてそっと腕を捕まれる。
そのまま壊れ物を扱うようにゆっくり抱き抱えらるとまるで自然の流れのように上半身、私の衣服も滑るように脱がされた。

それがあまりに手際がよくて驚いたけど、そのまま優斗の腕に抱きすくめられると不思議、その心地よさに何も言えなくなった。
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