あなたと私と嘘と愛
まるで濃密な世界だった。
優斗に抱かれてる最中とても幸せだった。
今まで感じたこのない幸福の波を知れたから。
好きな人と交わる気持ち良さを知れた私はきっともう、これ以上は望んではいけない。
これ以上のものを望んではいけない気がするの。
だってこんな関係やっぱりダメだもん。
例え破綻しているとはいえ、優斗はまだ母のものだ。
戸籍上は私の「父」なわけで、状況が変わってるわけじゃない。
気紛れな母のことだ。
もしまた気が変わって優斗とやり直したいと言ってきたら?
母が優斗を手放さなかったら?
それを考えると苦しさに押し潰されそう…
だからこれ以上は望んじゃだめ、ずるずると優斗との関係を続けていいことなんてないんだよ。
一度だけって決めた。
優斗との関係はこれで最初で最後だってそう決めた。
だからこのままそっと姿を消してしまおうか?
いっそこのまま別荘を出て暫く優斗と離れて暮らしてみる?
好き…
好きだよ…
優斗の寝顔を見て泣きそうになる。
もっと普通の出逢いかたをしたかった。
こんな複雑なかたちでなく、もっと単純な日常の中優斗と出会えてたら、こんなに苦しい思いをしなくてすんだのに。
きっと今とは違う未来があったはずなのに…