あなたと私と嘘と愛

優斗の手をそっと離した。

ごめんなさい…
心の中で呟き優斗から背を向ける。泣きそうな思いを堪え、ベッドから抜け出そうとした瞬間、「亜香里…」と呼ばれて腕を捕まれる。

あ…
ギシッとベッドが軋む音がした。
優斗の起き上がる気配を感じ、ドキリと動きが止まる。

「…何?起きたの?」
「……」

びっくりして声が出せなかった。
まさかの不意打ちだ。寝てると思ったのに…、思わず眉を寄せる。

「今何時?ってまだ3時だけど。もう起きるの?」
「…あ、うん。何となく、ね。自分のベッドじゃないし落ち着かないから一度自分の部屋に戻ろうかなって」
「……」
「ほ、ほら、もう停電も復旧したみたいだし、大丈夫かなってっ」
「……ふーん」

感情のない声を向けられた。それにも若干ビクついたけど、なるべく冷静に。冷静にと捕まれた優斗の手を然り気無くほどく。
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