あなたと私と嘘と愛
「まだ遅いし優斗はそのまま寝ててくれていいからね。私が勝手に寝れないだけだから」
じゃあ、と変に思われないよう気丈に振る舞う。別に問題ないよね?ただ自分の部屋に戻るだけなんだから…
平常心、平常心…と背を向ける、と、
「つれないね、亜香里は…」
何故かため息が…
ベッドから立ち上がろうとした私はお腹に回された腕により有無を言わせずボスっとその場へと引き戻される。
「…えっ」
「駄目だよ、逃がさない」
そのまま強引な力で抱きすくめられた。予想していたとは違う展開に目を丸くしたけど、それ以上に驚く低い声が、
「離さない」
そのセリフに流石の私も固まった。
ていうより怒ってる…?
「…ゆ…と?」
「悪いけど離さないよ」
「え…」
「まさかだと思うけど、これっきりの関係にしようとか思ってないよね?」
ドッキーン!と冷や汗レベルの激しい動揺が…。だから平常心平常心、と、思うのになにも言えない。
優斗の勘の鋭さに作り笑いの一つも出来ない私をさらに彼の鋭い言葉が追い詰める。