あなたと私と嘘と愛

「…それはまぁ…すごく」

恥じらいながらに呟けば、わぁお、なんてやっぱりぎゅっと抱き締められる。

「でもこれって素直に喜んでいいの、かな?」
「もちろん、そこはがっつり喜びなさい」

久しぶりに会った真由は相変わらず元気だった。
まぁ、元気なのはいいことだ。
ほぼ2か月ぶりの再会に私だって嬉しいもん。ずっとこうして会って話したかったのは私の方だ。
優斗のことを知ってる人と、優斗のことを相談したかった。

「なんか暫く会わないうちに大人になったんだねぇ。あ、違うか。大人の世界に嵌まったのか」

「…もうっ」

茶化して笑う真由はちっとも私を咎めたりしなかった。むしろ軽蔑されたらどうしようという私の不安は彼女の明るい笑い声が吹き飛ばしてくれた。

「それよりお母さんのあの記事はもういいの?」

「あ、うん。それは一応ね」

人の噂も75日というのは本当だ。
あれから1か月も経たないうちに芸能ニュースは他のタレントの話題に切り替わる。
現在人気絶頂のお笑いタレントの3又不倫報道が流れた瞬間、世間の関心は呆気なくそちらに移ったのだ。
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