あなたと私と嘘と愛
「ほらお姉さん、後ろのうなじにキスマーク付いてますよ」
「う、うそっ!」
咄嗟に首を押さえたけど、真由にはバッチリ見られてしまった。
さっきからからかわれて遊ばれてるのが分かったけど、「優斗さんって案外独占欲強いんだねぇ」なんて言われて彼との熱い夜を思い返して泣きそうなる。
「…ってあれ?亜香里?」
俯き急に押し黙った私を真由が不思議そうに覗き込む。
「っ…優斗が、ね…」
「…ん?優斗さんが?」
「優しいの」
「……は?」
「どうしようもなく優しくて、私を離してくれなくてっ」
「ちょ、ノロケかーい!」
「ち、ちがっ、そうじゃなくて。私ね、何度も離れようと思ったの。母のことも解決してないし、このままずるずる関係を続けちゃダメだって。せめて一度だけって。母との関係に決着が付くまではと思ったんだけど…」
う…と言葉に詰まる。
そこでまた言葉を濁した私を見て真由の直感が働いたみたい。「ああ、なるほど」と、理解ある言葉が飛んでくる。
「優斗さんがそれを許してくれないんだ」
「…離さないって、だから時々無性に苦しくなっちゃって…」
「でも離れたくないんでしょ?」
「え?」
「そんなこといいつつ、実際離れられないのはあんたなんじゃないの?違う?」
「ちが…っ」
わないとすぐに言えない私を見て真由の唇がニヤリと上がる
鋭い瞳でじっと見透かすようにみられた瞬間、矛盾してる自分の本当の気持ちが見えてくる。