あなたと私と嘘と愛
「恋愛は全てが正しい方向に進むとは限らないんだからね。時に間違った道に進んだって人は愛する人と側にいたいって思うこともあるんだよ」
「…っ、まゆぅ…」
「もしそれが間違いだったとしても私はずっと味方だから。亜香里のしたことに軽蔑なんてしない。一緒に泣いてあげるから、ほら、もっとしっかりしなさい!」
バシッと背中を叩かれ涙がポロリ。
「い、痛いよっ」
「けどスッキリしなかった?」
「……うん」
スッキリ…というより、背中を押されたような気分。
「けどよーく考えてみなよ。別にさ、お母さんからも優斗さんのことお許しを得てるんでしょ?だったらそんなに気にしなくていいと思うけどね。お母さんも新しい恋人と仲良くやってるんでしょ?」
「まぁ、ね。あの人は本当昔から自由人だから。男の人をアクセサリーか何かしか思ってないんじゃないのかな」
「はは、さすが悠里さん。逆に尊敬するわー」
「そこ、尊敬なんてしちゃダメだからね。…はぁ…、でも、なんかもうそれって普通じゃない、よね?」
「今更なに言ってんのー。亜香里の家は生まれた時から特殊でしょ?昔からあんた達家族は普通じゃないんだから今更の悩みじゃない」
やっぱりばしばしと叩かれた。
笑いながらこの家に生まれた自分の人生を恨みなさいよー、なんて陽気に言われたら深く悩むのがバカバカしくなってくる。
もう流されるままにいていいのかも。と、
どっと肩の力が抜けて私の口元も次第に緩む。