あなたと私と嘘と愛
「悔しい…、けどお腹すいた」
「…ん?ああ」
「体力回復に何か食べさせて」
「確かに。遅くなっちゃったけどご飯にしよっか。せっかく亜香里が作ってくれたシチューもあるし」
屈託ない笑みを向けられて錯覚しそうになる。優斗は私だけのものなんだって。
まだ正確に言えばあの人のものなのに…
まるで恋人同士だと…
そんなの吹き飛ぶぐらい今の私達は相思相愛にみえる。
だからベッドから降り、先に服を着た優斗を真っ直ぐ見つめる。
日に日に独占欲が強くなってること、きっとそれは気のせいなんかじゃない。
私だけのものになってほしい。
そう思ってしまう私は欲深い人間なんだろうか?
「優斗…」
だから背を向けられた瞬間こんな言葉が溢れ落ちる。
「お母さんとはいつ別れるの?」
ずっと押し込めていた言葉がポロっと出た。
あんなに満たされていた体が優斗と離れた瞬間再び物足りなさを感じてる。
「もっと何の気兼ねなく優斗を愛したい、の。それにさっきの言葉はどういう、こと?」
聞きたいことが色々ある。
今ってどんな状況?
母とはしてないってどういう意味?
なんの罪悪感なく、まっさらな気持ちで向き合いたいからもう我慢するのはやめる。ずっともやもやを抱えたままじゃ嫌だもん。
「…え?」
「…ちょっと限界に近い、かも…。ごめん、けど優斗も言ってくれたでしょ?不安なことがあったら直接口にしてほしいって…」