あなたと私と嘘と愛
「悠里さんからかも…」
「……え?」
お母さん?
「…たぶんこんな時間にかかってくるのはもしかすると…」
意味深な言葉を残して優斗が携帯を取る。
そして着信の画面を見た瞬間真顔になった。というか強張ったような、見るからに緊張した面持ちで通話を押した彼は、
「…はい。上条で…え?そうですか。分かりましたすぐに行きます」
そして通話を切った優斗は酷く悲しそうな表情で私を見た。
「亜香里、ごめん」
「え?」
「恐れていたことが現実になったかもしれない」
「な、何が…?」
「俺がもっとちゃんと説得出来てれば…」
「え、は?優斗?いったい何を…、さっきから何言って…」
困惑しながら優斗を見ると、さらに切羽詰まった声で手を捕まれた。
「とりあえず行くよ。すぐに出かける支度して欲しい」
「…は?」
有無を言わせない態度にますます…「ちょ、待っ…」と声を上げようとした瞬間告げられた言葉にえっと動きが止まる。