あなたと私と嘘と愛
私は冷たい眼差しを向けて凛と立つ母と向き合った。
「もう家出は終わったの?大事な旦那様ほったらかしていいご身分ですね」
思えば思うほど腹正しい。
仕事なら仕事でちゃんと一言伝えて出てってくれてもいいものを。
ふらっと居なくなって、ふらっと帰ってくる。
あんたは寅さんかと、突っ込みたくもなるけどぐっと堪え冷たい態度を示す。
「あらやだ、何か怒ってる?」
「怒るでしょ普通」
「誤解よ。優斗にはちゃんと話して言ったもの」
てことは私だけ除け者ですか。
娘には連絡1つしないで完全にスルーしてたわけね。
「優斗から何も聞いてない?」
「聞いてないから怒ってるの。ていうか新婚なら旦那様も一緒に連れてって欲しかったわよ。それぐらい今のあなたなら余裕でしょ?」
向こうで一緒にホテル生活でもすればよかったのよ。
その方が2人で思う存分イチャイチャだってできるし、最高でしょ。