あなたと私と嘘と愛
急激に力が抜け落ちる感覚がして、私はようやくそこで唇が動く。脱力したようにポツリと呟いた。
「いつから…」
「え?」
「みんなはいつから知ってたの?」
力なく、ようやく出た言葉がこれだった。
「1年、ぐらい前からです…」
真っ先にわこちゃんが涙ながらに呟いた。その後もごめんなさいと呟いて…
そんな言葉をハッキリ聞きながら当然視線は優斗の方へ。
「優斗も…」
「ああ、俺もそれぐらい前から…。悠里さん本人からもう長くはないと宣告は受けてたよ」
悲しい表情で私を見る。
だから尚更ショックを受ける。
だって全てその条件を踏まえての契約結婚だったなんて。そんなこと告げられたら誰だって…
「そ、んな…」
「…ごめん。それが悠里さんからの絶対条件ったから…」
愕然とした私は目を伏せる。
母がもしもの時、いざという時の身元引受人になってほしいと言われたのはおよそ1年ぐらい前。
ドラマ製作の顔合わせで出会った母は暫くして優斗にそんな非現実的なことをお願いしたのだと言う。
それ以外にも病院からの連絡、治療するに当たっての同意書など必要な時の夫としての役割を引き受けてほしいというのが第一条件だったと告げられて何も反応できない。
困惑しかなくて、
「……」
バカげてる。
それが母たってのお願いだったとしてもそんな非常識な契約はおかしいにもほどかある。信じられない気持ちで優斗を見た。