あなたと私と嘘と愛

「なんであの人を置いていくのよ」

「あら、優斗と仲良くできなかったの?」

「はぁ?」


だけど母はそんな気の抜けたことを言う。
私の気も知らないであろうことか、そんな突拍子もない発言で心を乱してくる。


「仲良くなんてできるわけないでしょ!」


だからつい声も荒くなる。
あったまおかしいんじゃないの?
一度この人の思考回路を切断してみたい。


「普通は無理でしょ」

「あらそう?せっかく親子の絆を深めようと私が気を利かせてあげたのに」

「そんな気遣い無用だからっ」


てことは、あえて優斗を置いてったってこと?
何を考えてるのよ、まったく。
普通ならこんなことはできないはずだ。
いや、普通じゃないからできるのか。

あ~もう、分からない。
この母に普通は通用しない。当てはまらない。

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