あなたと私と嘘と愛
けどそんな緊迫した空気を壊したのはあっけらかんとした母の一言。
「そんなの知ってるけど」
……え?
「真剣な顔して何を言うかと思えばそんなこと」
律儀ねぇ…なんて言われて私は二人を交互に見合わせる。
「今更でしょ?だって最初から私は賛成してたのよ?あの時別荘でも好きにしなさいと伝えたでしょ?そもそも亜香里のことは契約当初から病気の事とセットで貴方にお願いしてたじゃない。よかったら嫁にどうかって」
「そうでしたっけ?」
「むしろ私がずっと望んでたのよ。あなた達二人がくっつくのを」
……は?
「なっ…」
驚きのあまり声がでない。
何故か隣で優斗がクスッと笑ったことに信じられない目を向ける。
「本当非常識なお願いでしたけどね」
「けどあながち間違ってはなかったはずよ?あなた達なら絶対上手くいくって思ってたから」
まさかのまさか。
もしかしたらそうかもしれないと憶測はしてたけれど。まさに昨日真由ともその話をしてたばかりだったけれど、も。
飛び交う会話がぶっ飛びすぎてて正常な判断にたどり着けない。