あなたと私と嘘と愛


「そうよ。だから安心なさい。貴方は何も悪くない。むしろ怒られるのは私なの。私のことを気にすることなんて何一つないのよ」

「お母さん…」

「それよりもっと近くに来て頂戴、亜香里」

そう言われベッド横に来るよう催促される。やっぱり少し躊躇ったけど、今度は素直に従った。
優斗の手を離した時、応援されるように背中をぽんっと押される。

「さっきの優斗との会話は聞いてたのよね?」

「…うん」

「ならもう下手なお芝居は通用しないわね。全て聞いてた通りよ。色々複雑な思いをさせたけど、貴方には本当に好きな人と一緒になってほしいと思ってる。幸せになりなさい、亜香里」

そう言って枕元に置いてあった半透明のファイルに手を伸ばした母はそこから2枚の紙切れを取り出した。

「私からのはなむけよ。これが最後のプレゼントだと思って受け取って」

「…え?」

受け取りながら目線を紙に向ける。最初は何だろうと思った。

(あ…)
けどそれを確認した瞬間すぐにそれが何なのか分かり動きを止める。中身を見た私は目を見開きながらもう一度母の方へと視線を戻す。
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