あなたと私と嘘と愛
「…お母さん、わたし、優斗が好き…」
ちゃんと言わなきゃ…
そう思い、二つの紙を抱きしめ涙ながらに呟いた。もう何も誤魔化すことなく素直な優斗への気持ちを母に。今言わないときっと後悔する。
「そう、なら万々歳よ。これで安心して死ねるわね」
(あ…)
母の手がそっと私の肩に触れ、そのまま優しく撫でられた。まるでいい子ねと言わんばかりに私を褒め称える仕草に体が震える。
「上出来よ。これからは沢山愛を知りなさい。そしてそれを受けとるの」
「…っ…」
ずるい…
最後の最後でこんな…
こんな母親らしいことしないでよ。こんな風に撫でれられたら崩壊する。今まで我慢してたものが壊れそうになる。
「…っ、お母さ…」
耐えきれず大粒の涙が溢れ出す。
「…本当に、死んじゃう、の?」
泣きながらそんなことを口にした。
「…本当に、ほんとなの?」
嘘であってほしい。心の奥底ではずっとそう思ってた。これは冗談だよって、ドラマの中の設定なんだよって。