あなたと私と嘘と愛
愛が溢れた先に
頭がぼーっとする。
大人になって気付いたことが一つある。人は号泣すると思考回路が麻痺し、無気力状態に陥るのだということを。
「うっわ。なにこのお岩さんみたいな顔は…」
それを痛感し、鏡を置いた私はたまらずソファーの上にダイブする。
二重が完全に消えて両瞼が悲惨なほど腫れぼったくなっている。
涙のせいか顔も肌もカッサかさ。
「こんなの私じゃない。妖怪だよ。百年の恋も冷めるやつじゃん…」
うぅ…と予想外の事態にまたしても泣きたくなった。
母と本音で泣きあって1日経ったあとの自分がこれ。
瞼が熱く重たいは、顔もむくんでるしでそれは見るに見かねないお顔だった。
次の日起きた私はすぐにその異変に気付き、ソファーに倒れこんで項垂れる。
「亜香里?大丈夫?」
すると、当然心配した優斗の声が。近づく足音に顔を背ける。
「大丈夫じゃ…ない。優斗に冷められたくないから今は見ないで。できたら3日後に会いたい」
「……」
(…まぁ、あんなに泣けば当然だよね)
たぶん一年分ぐらいの涙は消失したんじゃないだろうか?
そう思うぐらい私と母はあの後二人して泣き続けてた。