あなたと私と嘘と愛

「じゃあ…まずはこの腫れぼったい目をどうにかしたいかも。冷やしてくれる?」

私が素直に甘えたらけっこう面倒くさいかもよ?なんて思いながらも言われた通りに甘えてみる。

「かしこまりました」

優斗はやっぱり嫌な顔せず、むしろ嬉しそうにその場から立ち上がる。

そして戻ってきた彼はガーゼで巻いたアイスノンを10分間私の両瞼の上に乗せ冷やしたあと、今度は温めた蒸しタオルを交互に乗せる。
どうやら瞼の腫れには冷、温を繰り返し行うのが効果的らしい。

これが思ったより気持ちいい。
優斗の膝の上に頭を乗せ仰向けの状態になりながら私は息つくように声を出す。

「ふぅ~気持ちい…」

「それは良かった」

「極楽だからこのまま寝ちゃうかも」

まったり気分。眠そうな声を出しながら、

「ねぇ優斗?」

目を閉じたままとても穏やかに言葉を選ぶ。

「あのね、もう一つお願いがあるの。母とのことだけど、できたら最後まで今のまま離婚せずにいてくれないかな?」

「ん?」

「当初の契約通り最後まで夫としての役割を果たしてほしい」

真実を知った今、これが一番いいんじゃないかと結論が出た。
母の最後を看とるまでは優斗には変わらずそうしてもらった方がいいんじゃないかって。

「私なりに考えたんだー。皆のことを考えてそれが一番ベストだって」
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