あなたと私と嘘と愛
「母も優斗には離婚だって言ってるけど、本心はそうじゃない気がするし」
本当は優斗にも側にいてほしいはず。
「母ってね、基本特定の誰かを側においとくのが嫌いな人なの。特に自分が気に入った人以外はね。うーちゃんがその一人でもう一人は優斗だと思うの」
そもそも自宅に誰かを住まわせるなんて前代未聞。うーちゃん以外は初めてのことだった。
2番目の父親だって数回会わされただけで住む場所は別々だった。
それ以外の恋人なんて実際会ったことがない人も多かったし、気紛れに紹介される時も食事を交えてがほとんどだった。
家に招いての記憶はない。
「優斗は特別なんだよ。きっと母にとって貴重な存在なの。ほらツチノコ的な」
「ツチノコって…」
それぐらい貴重ってこと。
この前話してた会話を聞いてた時にも思ったもん。母にとって優斗は気を許せる相手なんだって。
それが分かったから尚更その思いにたどり着ついたのだけど、何故か優斗からの返事が遅い。
「…う~ん、それは…どうだろ?」
まさか濁されるとは思わなかった。すんなりいいよと言ってくれると予想していた私の反応はどうしたものか。
「まぁ、家で亜香里の警護も兼ねてが俺の契約だったのもあるし」
自宅に住むことがそもそもの条件だったとか。
「本当にそれだけだと思ってる?」