あなたと私と嘘と愛
…あれお返事は?
黙り込む優斗に思わず目元のタオルを外す。
今どんな顔をしてるのか気になって見てみようと思ったらやっぱり複雑そうなお顔。
「…なにか言いたいことがあればどうぞ」
「いや、俺は亜香里がそうしたいなら賛成だよ。それでいいと思うけど、…ただ…」
「…ただ?」
「そう簡単にいくかなーと。相手は一癖、いやニ癖も三癖もある強者だから…」
私は首を傾ける。癖…とは?
けど次の日、その何かを察したような優斗の発言はまとを得て現実になる。
「ーーは?私はそんなこと一ミリも望んでないんだけど?何でそうなるの?却下よ却下」
それは私の良かれと思った気持ちを横からピシッとはね飛ばすような発言。
勝手に意見を変えないで頂戴よと怒られた。
「うだうだ言ってないでさっさと結婚しちゃいなさい」
と一括。
「優斗あなたまだ離婚届出してなかったの?何もたもたしてるのよ。私は早く貴方と離婚したいのよ?あれから何日かかってるの?行動が遅すぎよ!」
いや、まだニ日しか経ってませんけど…
確かに強者だった。
その相手はもちろん母で、私は目の前のニ癖も三癖もあるお顔をものすっごい真顔で見てしまう。