あなたと私と嘘と愛

優斗が懸念してたのはこれか。
こういうことか…と、最初からこうなるんじゃないかと予想してあんな煮えきれない態度だったんだと理解した。

「いや、でも私はお母さんのことを考えて…」

「だから今後は二人で私の最後を看取ってくれればいいじゃない。すべてオープンな状況になった今、夫ではなく娘の配偶者としての立場で契約を全うしてくれればいいのよ」

そんなめちゃくちゃな…
やっぱり母は母だった。先日の泣き合ったことはなんだったのか…。
少しは丸くなったのかもと期待した私の予想は呆気なく崩れ去る。

「あのねお母さん、結婚ってそんな簡単なノリでできるものじゃないでしょ？？なんていうか今後の人生を共にするわけだし、お互いの気持ちだって尊重しなきゃいけないわけで」

「つまり、優斗は結婚相手としては不服ってこと？」

「なっ」

ちがーう。
そういうことじゃなくて、ぎょっとした私はたまらず隣に立つ優斗の方へと視線を向けた。
なんて説明したらいいのかと、さっきから黙り込んでいる優斗に助け船を求めると、何故か無表情のままそっと手を握られる。