あなたと私と嘘と愛
「あんまり亜香里を苛めないでやってください」
「え?」
「まだ二十歳の彼女には荷が重い選択ですよ。さすがにこればっかりは悠里さんの思い通りにはいかないと思いますけど」
言いきった優斗はまるで私を庇うように母の発言を否定する。助け船だ。
けどすぐにゆっくり緩む優斗の口元を見つめていると、その芯のある凛々しさに頬が急速に熱を持つ。
「ふっ、本当にいつもぶっ飛んでますね。きっと貴方は死ぬまでそうなんでしょうね」
あきれ気味に笑って母を見てるけど、どこか許してるようにも見える。
「まぁ、こうなることはだいたい想定済みですけど。ずっとそれを望まれていたので」
「ならぐだぐだ言ってないでさっさと亜香里を貰っちゃいなさいよ。ぐずぐずしてるとまた得たいの知れない男に取られるわよ」
「させませんよ。そんなこと」
「ちょっ…」
すごい会話に思わず赤面する。
「他の男に取られるぐらいなら俺だってすぐにそうします」
「ゆ、優斗…っ」
「もともと亜香里が賛成ならいつでも夫になる覚悟はできてるので。けど彼女の気持ちもちゃんと尊重したいのでそこは慎重にしたいかと」
…へ、は?
うわっ、これってある意味プロポーズってやつ?
私求婚されてるの?そういうこと?