あなたと私と嘘と愛
甘さ満点の瞳。
ドキッとしてスプーンを持つ手が止まる。
「もっと色んな表情の亜香里を見てみたいからこれからも俺と一緒に出掛けてくれる?亜香里と一緒ならどこでも楽しそう」
「…優斗って脚本家以外の職につくならきっとホストなんて似合うんじゃない?」
「なるほど。亜香里専属のホストならいいかもしれない。もしもの時は転職しよっか?」
なんか脳裏に警報が、
甘すぎ注意報なんてテロップが頭の中で流れてきそう。赤面して目の前のオムライスまでピンクに見える。
「優斗って…」
「ん?」
つかめない…
本気なのか嘘なのか。いや、ユーモアだって思いたい。嬉しい反面やっぱり反応に困るっていうか。なんか食べる前から胸焼けが…
「あのさ、優斗っていつも恋人の前でそんな態度なの?」
とろっとろのオムライスをすくいながら疑問に思ったことを投げ掛ける。
ついでに過去の彼女のことも聞いちゃう作戦だということは胸に秘めて。
「ん?」
案の定優斗の手がピタリと止まる。
「どうなの?優斗って恋人にはこの上無い愛情を注ぐタイプ?」
ここはさらっと何気なく。何の詮索はしてませんアピールは忘れずに。
「どうだろう?」
けど優斗の返事は予想外に曖昧なもの。
「気になる?」
「え?」
「俺の過去とか気になるの?」