あなたと私と嘘と愛

「あ、別に茶化してるわけじゃないよ。気を悪くしたらごめんね。どちらかといえば私達親子の方が変だもんねぇ。
けど最近思うんだー。人の生い立ちなんて自分じゃ決められないし、これが運命なんだって。生き方が違うのは決まった定めのような気がしてる」

それを優越つけるのが人ってもんだけど、上、中、下をつけたがる世の中に文句を言ってもしょうがないんだけど。

「教えてくれてありがとう優斗」

「え?」

「上手く伝えられないけどなんかやっと納得できた。すごく親近感もわいた」

「……」

ふふっと笑って今度こそスプーンを掬い上げる。もしかしたらこんな言い方はおかしいかもしれないけど、

「聞けて嬉しかった」

やっと優斗のことが分かった気がして、自分のことをさらけだしてくれた優斗の気持ちがとても嬉しいと思ってしまう。

「話が色々脱線しちゃったよね。ほら冷めちゃうから食べよう」

そう言ったのに何かを考えるようじっと見つめてくる優斗はどこか腑に落ちない様子。

「なんでお礼なの?」

「まぁ、言いずらいこと教えて貰っちゃったし?」

「逆に嫌な顔されるかと思ったけど」

「え?なんでよ」

「こんな得体の知れない人間を簡単に受け入れちゃっていいの?」

「え?」

「どんな親から産まれたのか分からない人間だよ?もしかしたら犯罪者とか極悪人の子供かもしれないし」

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