あなたと私と嘘と愛
「あんまり変なこと言うと怒るからね」
「……」
「そうだ、苺パフェも奢ってよ。一番高いやつ」
ここで宣言したっていい。
何者だっていい。目の前の優斗が好きなんだって。
「ふっ…」
そう言った直後黙り込んだままの優斗が突然下を向いて肩を震わせた。
(…あれ?)
怒っちゃった?流石に言いすぎた?なんか熱弁しちゃったことが急に不安になってきた。
「あ、あの…」
「デジャブかと思った」
けど笑ってる。顔を上げた優斗は予想外の反応で可笑しそうに笑ってる。
「やっぱり親子だね。悠里さんと亜香里は」
「ん?」
「間違いなく親子だよ。前に同じことを悠里さんにも言われたから」
「…え?」
「俺は何も悪くないって、もっと堂々と生きなさいって」
「お母さんに…?」
「そうだよ、けっこう衝撃的だった。そんな風に言われたのは良くも悪くも初めてだったから」
笑顔を取り戻した優斗が再び優しい眼差しを向けてくる。
「そんな俺が気に入った、欲しいって。家族にならないかって言われた時は正直ヤバイ人だと思ったけど」
ああ、確かに。
母なら言いそうだ。けどまさか優斗をそんな風に口説いてたなんて。
やっぱりぶっ飛んでいるなと思いつつ、どこか納得してしまう私もまた同じようなもの。