あなたと私と嘘と愛

「うーちゃん?」

そう、うーちゃんだった。長い髪の毛を後ろで一つにまとめた彼女の装いは上下黒のスーツでビシッと決まってる。
まるでキャリアウーマンみたい。

「え、は?どうしたの?」

「私達は悠里さん親衛隊でーす」

「は?」

「今日は月島家のお手伝いに参りました。これから写真撮影の準備をさせていただきたいと思います」

聞けば母に頼まれたのだと言う。
この7人のスタッフの人達は日頃から母の仕事での身の回りをお世話する厳選された7人集団らしく、ネイリストからスタイリスト、カメラマンまでプロ中のプロだそう。

「き、聞いてないけど…」
「言ってないもの。今日は半日教会も貸し切ってるから自由にやりましょ」

またとんでもない企みを…

隣の優斗に視線を向ければ彼もやれやれという表情を返してる。
優斗も知らなかったことが一目瞭然。

「さすが悠里さんですね…」

「不平不満は受け付けないわよ。もうキャンセルは終了してるから」

「予約したことも知りませんでしたけど…」

「ふふ、もう旦那じゃなくなった優斗に相談する義務はないもの」

いやいや、相談ぐらいするでしょ?
呆れた私と優斗は顔を見合わせた。

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