あなたと私と嘘と愛
「亜香里、悠里さんこちらへどうぞ。優斗さんはあちらへ」
ぞろぞろと7人集に囲まれる。
うーちゃんに指示されて、なぜか私と優斗は別々の部屋に連れていかれる。
「殿方はあっちで男性陣に。お嬢様方は私達女性陣で責任もって綺麗にしてあげるからね」
思ったより本格的なようだ。
控え室に案内された私と母は隣同士に鏡の前に座り肩からタオルをかけられる。
「今日は宜しくお願いします、担当の沢井です」
にこりと挨拶をされたのはショートボブが似合う若くて綺麗なお姉さん。
どうやらこの人が私の担当らしく、母にはうーちゃんがすでに髪の毛をいじり始めてる。
「どんな髪型にしましょうか?したい髪型とかありますか?」
「いえ、特には…」
急に言われても分からない。そもそもこんなことになるとは思っていなかった。今一謎な状況だ。
とりあえずお任せでとお願いして、チラリと母の方へ視線を向ける。
「まさかもう一度こんな日が来るなんてねぇ。昔を思い出しちゃうわ悠里さん」
母の髪の毛を束ねるうーちゃんが涙ぐむ。きっと昔を懐かしんでるのだろう。
元々うーちゃんは母の専属のヘアメイク担当だった。
「最後にまたこうして悠里さんのお世話ができて光栄です」
そんな言葉を聞いていると、いかに二人が親密だったか伺える。
とてもいい間柄だったのは私もよく知っている。