あなたと私と嘘と愛
「私もよ。私の代わりに亜香里をここまで大きくしてくれて感謝してるわ」
「そんなこと…」
耐えきれずポロポロと涙をこぼし始めたうーちゃんを見た私も釣られて泣きそうになる。
この一瞬一瞬を保管できたらいいのにと最近常に思う。
母とのやりとりをいつでも取り出せたらいいのに。
「今日はいい日にしましょ。とびっきり綺麗にさせていただきますね」
「ええお願い。けど分かってると思うけど主役はあくまで…」
「分かってますって、計画は打ち合わせ通りに」
瞳から涙をこぼし口元は含み笑いという、なんともミスマッチなうーちゃんの表情が視界に映る。
ん?と疑問が生まれた私は首を傾ける。
秘密の会話が飛び交っているのに気づきつつ、きっと聞いても教えてもらえないんだろうなって、若干の諦めモード。
「わっ、うそ。これが私?」
ヘアメイクが終わり、自分の姿を見た私はあまりの変わりように驚いた。
「亜香里ー!すっごく綺麗!さすが悠里さんの子供、可愛すぎるー」
「本当にお綺麗ですよ」
「当たり前よ。誰の子だと思ってるの?私の子供が可愛くないわけないでしょ?」
「売れっ子のモデルさんみたいです!」
うーちゃんに沢井さん。母のそれぞれの意見を聞いてたまらず赤くなる。
皆誉めるのが上手。
確かに見違えるように変わったとは思うけど。