あなたと私と嘘と愛
愛が溢れた先に Sideー優斗

悠里さんの突拍子のない行動にはもう慣れた。
と言うか慣れる他選択技はなく、これまでの彼女の思い付きに付き合っていた俺は並大抵のことでは驚かなくなっていた。

だからこの用意された衣装を見た時も「なるほどな」と、すぐに理解できた。
悠里さんのやりそうなことだ。
彼女は死ぬまで期待を裏切らない、自由奔放な人だ。

そもそも彼女との出会いも最悪だった。
仕事で怒られたかとは思えば次の日には誘惑される。それを冷静に断った俺に悠里さんからの熱烈なプロポーズ。

「あなた面白いわね、私と家族にならない?」

日本語が通じない相手に会うのは初めてだった。まるで人の話を聞かない。異国の人種と話してるようで、なるべく関わらないようにしていた俺に対しストーカーのように付きまとってくる。

「優斗、私の夫になりなさい」

この人には常識というものがないのだろうか?
何度も断った俺に彼女も何度も何度も攻めてくる。

「今ならもれなく私の一人娘もついてくるわよ?」

娘がおまけかよ。
自分の娘を売り物にすること事態あり得ない。
この人の人格が見えた気がして、流石に
怒りの感情も芽生える。
きっとこの人は人生を軽視してるんだろう。むしろ面白がっている姿に当然俺は嫌悪しかなく、耐えきれなくなればパワハラ、セクハラで訴えることも考える。

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