あなたと私と嘘と愛

だとしたら悠里さんの行動と以前の発言がしっくり飲み込める。
あれから俺なりに調べたら、悠里さんがきつく当たって辞めさせたほとんどの人達が裏で犯罪やヤバイことに関わってる人達だった。

「さぁ、なんのこと?」

彼女はエスパーか何かだろうか?
俺の予想はほぼ確証を得てると思うのだけど、はぐらかす悠里さんはさもそんなことはどうでもいい素振りでお茶を飲む。

「私何か言ったかしら?」
「そういうスタンスですか…」
「お腹すいて何も話せないの」
「作りませんよ。俺もあげません」
「ケチねぇ…」

こんな調子じゃ埒が明かない。本気で何をしに来たんだこの人は。多少なりとも何かを口にしたら素直になってくれるのだろうか?

「…どうぞ…」

結局俺は彼女の前に食する物を置いた。

「あなたの口には合わないかもしれませんけど、残り物です」

「あら、カレーは好きよ?美味しそうじゃない」

ここは素直に食べるんだな。
ご飯をすくい、口に入れる姿を眺めながらついつい本音が溢れ落ちる。

「カレーが似合わない人なんて初めて見ましたよ。違和感しかないですね」

全くもって庶民の食べ物が似合わない。下手したらチーズだけの方がしっくりきたんじゃないだろうか?

「ふふ、よく言われるけど昔はこう見えてよく作って食べてたのよ?」

「それこそ意外ですね」

「娘が好きだったから」

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