あなたと私と嘘と愛

坂井さんは思い出したかのように目を細める。


「こうして偶然会えてラッキーだな。今日はついてる」

「そんな…」


美人と聞いて急に熱くなった。
思わず照れてしまい、たじろいだ。


「お、お上手ですね。お世辞でも嬉しいです。ありがとうございます」

「お世辞なんかじゃないですよ。僕は本当のことしか言わないので」


爽やかな笑顔にドキッとする。
何て言うかストレートな人だ。
こんな人だったっけ?と思いつつ、面と向かって容姿を誉められるとやっぱりこそばゆい。

お世辞でも嬉しい。


「さ、坂井さんも今日はいつもと雰囲気が違いますね。最初分からなかったので」


彼はいつもスーツを着てるから、今みたいに黒のメンパンにVネックのニット。その上にミリタリーのブルゾンというワイルドな格好は見慣れない。雰囲気がガラリと違う。


「坂井さんも新鮮です」

「ありがとうございます。それは誉め言葉として受け取っても?」

「もちろんです」

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