あなたと私と嘘と愛
そんな俺が今になって思うこと。
人生は何が起こるか分からない。一つ一つの自分の決断でこんなにも世界が変わることを身をもって知った。
初めは形だけの契約家族だったはずなのに、今は月島家のことを何より大切に思ってる。
まるで本当の家族のような尊い存在。
「ーー優斗」
名を呼ばれた俺はハッとして我に返る。
いつの間にか自分の世界に入っていた俺はドアの入り口にたたずむ美しい姿の女性に一瞬で目を奪われる。
「……亜香里?」
「…あの、どうかな?なんか気付いたらこんな風にされちゃったんだけど…」
恥ずかしそうに俯く彼女に30にもなって胸がときめく。まるでどこかの国のプリンセス、いや白く輝くばかりのドレスに身を包んだ妖精にも見える。
「…ごめん、遠くてよく見えないからもっと側に来て見せて?」
胸から肩にかけて施された決め細やかなレース、胸からスカートにかけてサテンの爽やかな生地に包まれた亜香里を真っ直ぐ見つめる。
ご丁寧に手元に小さな花束を持った彼女
の腕を掴み自分の元へと引き寄せた。