あなたと私と嘘と愛

それがまた穏やかな気持ちにさせてくれる。

「悠里さんと出会えて良かったです」

「……」

少し涙ぐんだように見えたのは気のせいだろうか?彼女は破天荒な人だけど、ちゃんと人の温かさは持っている人だ。

「あと亜香里に出会わせて貰えたことも感謝してます」

だから生きているうちにちゃんと気持ちを伝えたい。限りない命の中で僅かな時間を共に過ごした特別な人だから。



「…本当…ばかね…」

最後まで悠里さんは悠里さんだったけれど、俺を目にした彼女もまた俺のことを認めてくれたような、そんな眼差しを感じられたことに感謝の気持ちが押し寄せる。


「はい、それでは撮影に入ります」

暖かな日差しが差し込む聖道の中、
担当のスタッフさんに言われて教会の真ん中で撮影が始まった。
車イスの悠里さんが前。その後ろに俺と亜香里とうららさんが並ぶ位置で俺と亜香里が少しかがみ、悠里さんの肩にそっと手を添える。

「はい、では撮りますよー。皆様今日一番のスマイルでお願いしますね。それでは3、2、1…」

「こちらこそ、ありがとう」

「…え?」

「優斗」

直前で言われた不意討ちの小さな声。
その、悠里さんの言葉を俺は一生忘れることはないだろう。


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