あなたと私と嘘と愛
エピローグ
「あーやばいっ、もう時間がないよー」
朝の支度が終わり、朝食もそこそこに落ち着かない私はもう一度バックの中身のチェックをする。
「筆記用具持った。ハンカチティッシュも持った。受験票も持ったでしょ?あとは…」
「お弁当は?」
「あ、それだ!」
ソファーから立つとエプロンを着用した優斗にやれやれと言った様子でお弁当の入ったトートバッグを渡される。
「ちょっと慌てすぎじゃない?ほらもっと落ち着いて、大きく深呼吸してごらん」
「だってぇ…」
何を隠そう今日は国家試験の当日。衛生士になるべくして今まで頑張ってきた成果が試される時。自分なりに精一杯頑張ってきた。だからきっと大丈夫。
けどめちゃくちゃ緊張してしょうがない私は朝からバタバタと落ち着かない。
「昨日の夜もあんまり寝れてなかったよね?」
「あ、ばれてた?」
「夜中あれだけベッドの中でごそごそしてたらね」
そっか…と思わず苦笑い。
「まぁ、その気持ちはわかるけどね。俺も受験の時はそうだったから」
だよね、だよねと相づちを打つ。よっぽど不安そうにしてたのだろうか?
見かねた優斗が「よし」とポケットから何かを取り出す仕草を見せる。