あなたと私と嘘と愛
「はい、これお守り。手出して」
「…ん?」
渡されたもの。それは鮮やかな緑色の蛙のキーフォルダーだった。手の平に収まる大きさのそれは立体的な形をしていてまるでミニチュアのフィギュアのよう。
「……?」
まさかのそれを目にして目をパチパチとさせる。けどそれが思いの外可愛かったので口元が緩む。目の形が仏様のようにニッコリ笑ってる。
「けど何で蛙なの?」
お守りってもっとこう、平べったくて合格祈願とか書いてなかったっけ?
「ああ、普通はね。けど亜香里にはこっちの方が効果的かなって。ほら緑色には精神を落ち着かせる効果があるみたいだし」
なるほど…と、優斗の言葉に耳を傾ける。確かに和むなぁ、この蛙…
「それをバックに着けてよ。会場についたらそれを見て深呼吸したら?あと、最後のとっておき。ちょっと右の耳を引っ張ってみて?」
「え?耳?こう?」
言われた通りに引っ張ると、同時に蛙の口が空いて長いベロが飛び出した。
よく見るとそのベロの表面に何か文字が書いてある。それは…
「あははっ、待って、まさかのそこ?」
思わず笑ってしまった。
だってそこに書いてあった文字が合格祈願。予想外のそれが面白くて声を上げてしまう。