あなたと私と嘘と愛

それから坂井さに連絡をしたのは4日後のことだった。

それまでにはかなりの葛藤と勇気がいった。
恥ずかしさのあまりなかなか行動に移せない私に対し、痺れを切らしたのは他でもない真由だ。

あの日私の変化にいち早く見抜き問い詰められた私は素直に坂井さんから貰った紙のことを告げた。

すると「凄い、カッコいい、素敵!」ととにかく大絶賛だった。

「何を迷ってるの?こんなチャンスは2度とないよ。これは恋をするチャンスだよ!」


真由の興奮はすごい。
何度めかの熱い演説に背中を押され、4日目にしてようやく何かが吹っ切れてきた。

以前専門の友達から「患者さんからたまにアプローチがあるみたいよ」なんて浮いた情報を聞いたりはしていたが、それはあくまでも他人事。

自分の身に起こるとはまず思わなかった。

だが、これは恋するチャンス。
真由の言うとおり自分を変えるベストなタイミングなのかもしれない。

それを物語るようにあれ以来私の頭の中は坂井さんでいっぱい。

まるで恋する乙女になったような気分なのだ。


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