あなたと私と嘘と愛

だから勇気を出した。
大袈裟かもしれないが受験の時以上の緊張だった。

4日目の夜、この時間だったら家に居そうかな?という時間帯を見計らい部屋にこもって携帯を耳に当てた。

心臓が爆発しそうな感覚で教えて貰った番号に電話をすると、何コール目かして坂井さんの声がした。


「もしもし」

「……あ、こんばんは。月島です。えっと、今大丈夫でしょうか?」


緊張のあまり片言になってしまった。
変な人だとは思われなかっただろうか?
それを物語るよう、私が話した直後坂井さんの反応が無くなった。急に無言になり当然不安に襲われる。


(…もしかしてまずかった?)


だけどすぐにそれは坂井さんの驚きの声にかき消され、そんな不安は吹き飛んだ。


「月島さんって…え?あの月島さん!?」


電話の向こうでガタガタと何かが落ちる音がした。
彼は「本当に!?」とテンションを上げ驚きながら私の名前を呼ぶ。


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