あなたと私と嘘と愛

「今から出掛けるの?」

「…え、まぁ……」

「だからそのメイク?」


優斗はそう言うと興味深そうな顔をした。


「やけに決まってるなって…」

「悪いですか?それとも何か変、とか?」


あっさり見抜かれたことに少々驚いたが、初めてする自分のメイクに多少の不安は隠せない。
一応うーちゃんにも会って伝授してもらったんだけどね。

自信があるかと言われたら嘘になる。


「いや、そういうつもりじゃないけどやたら気合いが入ってるなって。もしかしてこの前のお泊まりの彼とデート?」

「…え、そうですけど…」


「それが何か?」と都合よく乗ってみた。
この前勢いで言ってしまった恋人いる宣言が疑われないようにしなきゃと頭が働く。


「…いや。別に深い追求はないよ。…で?服装は?もしかして困ってる?」


なんで分かったの?と驚きの顔を向けたがすぐにその疑問は解決された。
開いた扉の向こうからベッドに散乱した服が見えたのだ。

それを見たらきっと一目瞭然。
誰が見たってそう思うかもしれない。

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