あなたと私と嘘と愛
「だったらなんですか」といいかけてふと口ごもる。
不本意だが異性の意見を聞くのも案外ありなのでは?
と、頭の片隅で思ってしまったからだ。
だってそこに居るんだもん。
「ねぇ、貴方っていくつ?」
「…ん?29だけど…」
てことは、坂井さんと2つしか年も変わらない。思ったより近いじゃない。
彼の意見を聞くのはけっこうベストなのかもしれない。
「…あの、ちょっといいですか?」
私は部屋の中に入りいそいそと2パターンの洋服を持ってきた。
1つは定番の白のニットワンピースにベージュのスヌードを合わせたもの。
もう1つは長め丈の黒のタイトスカートにデコルテが程よく見えるストライプブラウスを合わせ、その上から淡い紫のカーディガンを羽織らせたもの。
とりあえず真剣に考えた中でこの2つが一番の悩みどころ。
さあどっち?
的な眼差しで優斗の反応を伺うと、私の思いに気付いた彼が意外にも真面目な顔付きになる。