あなたと私と嘘と愛
女性と男性では見方が違う。
やはり思いや好みも違うのかもしれない。
「あまり無理して背伸びなんてしなくてもいいんじゃない?」
「どういう意味ですか?」
「君は君らしく。初めから飛ばすとことはないってこと」
やけに意味ありげな言い方だとは思ったが、それを素直に聞き入れる。
何だか全てお見通し感はあまりいい気はしないが、「一応覚えときます…」と頷いた。
「まぁ、焦らずゆっくりやれば?」
「焦ってるように見えます?」
「とりあえず必死なのはよく伝わってくるから見てると心配」
「は?」
「まぁ、変な男にはひっかからないように気を付けて」
ふっと息を吐くように笑われてムカついた。
これは心配されてるの?それとも小バカにされてるの?
もしかしたら両方かもしれないが変な気遣いは無用だ。
だから「一言余計です」と素っ気なく目を反らす。
「一応保護者だからね」
「私は認めてませんけど…」
バタンとドアを閉めた。
やっぱりムカムカとするが、優斗が選んだ服を着ないという選択肢は起きなかった。
むしろさっきまでの迷いがなくなっているのには驚いたが、改めて"嫌な奴"という印象だけはこうしてインプットされた。