あなたと私と嘘と愛

「そりゃこんな可愛い子が助手席に乗ってたら緊張ぐらいするでしょ」

「ま、また…」

「本当、夢みたいだ。あなたとこうして会えることをどんなに望んでいたか。…だからきっと俺の方が内心ドキドキですよ」

「まさか…」


信号待ちで車が止まり、彼が私の方へ向いた。
ふいに視線が合わさると彼は少し情けない顔をする。
そして何を思ったのか私の手を掴み、突然自分の胸元へと導いた。


「…ほら、これで信じてもらえます?」


思わず固まった。
私の手の平が坂井さんの心臓部分に当たり、ドキッとなる。
だけどそれ以上に驚いたのは彼の言うとおり、心臓の鼓動が想像以上に激しく波打っている。


「これでも頑張って大人ぶってるんです。余裕ある態度を見せようって」

「………」

「だから僕も一緒です。照れ屋同士ここは開き直って楽しみませんか?」


にこり微笑まれて目を見開く。
坂井さんに触れた指先から急速に体の熱が高まっていく。

恋に落ちてしまいそう…
そんな予感がし、顔が真っ赤になる。
会ってすぐなのにこんな対応はズルい。生まれて初めての恋が加速する。


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