あなたと私と嘘と愛

淡々とした言い方に少しムッとする。


(何なのよいったい…)

相変わらずマイペースな登場は私を不愉快にさせる。
せっかくいい気分だったのに…


「本当分かりやすいね」

「違います。好き嫌いがはっきりしてるだけですっ」


だったら何よ、と顔をしかめる。
優斗の前だとつい、突っ掛かった言い方になってしまうのはもはや定番化している。

だってムカつくんだもん。
やたら鼻についてしょうがない。

だけど優斗はそんな私に対し、やっぱり顔色1つ変えてない。


「じゃあ、そんな君の好きなものをちょと聞いていい?」

「は?」

「突然だけどカニは好き?」


またまた突拍子もないことを聞いてきた。
思わずポカンと口をあけると優斗の目尻が若干下がる。


「これ、知り合いに貰ったんだよね。良かったら食べる?」
「もしかしてその中身ですか?」


優斗が持ってる発泡スチロールの中身はカニらしい。
しかもタラバガニ。
沢山貰った為、一人で食べきれなくて困ってるのだと言う。


「悠里さんも仕事で帰って来ないしね」

「………」

「もしかして嫌いだった?」

「……いや、好きだけど…」


むしろ好物だ。
好きな物トップ5に入るぐらい好きな食べ物です。

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