あなたと私と嘘と愛
「ほぅ、こりゃべっぴんさんじゃのう」
「…あら、ありがとうございます」
そこへ通りすがったおじいちゃんが登場。
杖を付き興味深くうーちゃんを見つめると、とても見惚れたように足を止めた。
「女優さんか何かかね?」
「いえ、違いますよ。一般人です」
「ほほう。そりゃいいものを見させてもらったわい。冥土の土産になりそうじゃ」
「あらやだ。お口がお上手ですね。そう言って貰えて光栄です」
うーちゃんが花が咲くような笑顔を向けると、お爺さんの顔がほのかに赤くなった。
照れたのが分かり、私は内心可笑しくなった。
魔性の女、ここに君臨。
うーちゃんの笑顔は誰をも魅了する。
うーちゃんのストライクゾーンは実に幅広い。
それは子供からお年寄りまで様々で、彼女に魅了される人は星の数ほどいるんじゃないだろうか?
だってさっきから周りのおじさま方の視線を独り占めしてる。
彼女が耳に長い髪をかける仕草を見せる度、多くの視線が集まる気配がするのはきっと気のせいじゃない。
ふふ…
だけどね、皆さん騙されてますよー
だって彼女は女性であって女性じゃない。
戸籍上は「♂」これ、なわけで。実は男性なのだ。
なにを隠そううーちゃんはニューハーフだから。