あなたと私と嘘と愛

そんな時ダイニングテーブルに置いてあった携帯が鳴った。


(私のだ…)

ピコンと音がなり、そしてラインの相手は坂井さんだった。まさにグッドタイミング。
彼のことを考えた瞬間連絡があるなんてすごい偶然。

だから途端笑顔になる。


「今なにしてるの?」


その文面にすぐさま優斗から離れ「今からカニです」とハートマークも入れ返信を打った。

「いいねカニ。ちなみに何処で食べるの?」

「家ですよ。坂井さんは何してるの?」


そんなやり取りをカタカタとする。
彼は仕事が今終わり同僚と飲みに行くのだという。
その移動中に連絡をくれた訳だ。


「飲みもいいですね。楽しんできてください」

「俺はカニの方がいいなぁ。亜香里ちゃんと一緒に食べたい」


わ、と顔が熱くなる。
最近じゃ私への呼び名が月島さんから亜香里ちゃんに変わった。
親しみがこもった呼び方はちょっとこそばゆいが、やっぱり嬉しい。
関係が深まってきてるようでにやけちゃう。


「そうだ、僕のオススメな焼き肉屋があるんです。今度良かったら一緒に食べに行きませんか?」

「わぁ、いいですね。行きたいです。ぜひ!」


そんなやり取りをして幸福に浸る。
まさか私のそういう浮かれた姿を優斗が見ていたとは知らなかったけど…

< 80 / 471 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop