あなたと私と嘘と愛
「悪い、安心して。俺達は上手くいってる。こう見えても悠里さんは俺を必要としてるし、俺も彼女を必要としてるから」
「…ほ、本当ですかそれ?」
「本当本当。俺達はこれでもちゃんと分かり合ってる。しっかり夫婦やってるからご心配なく」
それを聞いてちょっとガッカリした。
何となく面白くない。
それが本音か嘘かは分からないけど、本当ならうちの母との関係は良好ということだ。
「それよりも携帯鳴ってるよ」
「え?」
「君の携帯さっきからピコピコ鳴ってるけど大丈夫?」
そこでハッとした。
慌てて手元にある携帯を見ると坂井さんからのラインがいっぱい。
しかも写メまで送られてきてる。
「わ、ちょっ、すみません」
「もしかして彼氏?」
「え?」
そう言った優斗の顔がすっと引き締まる。
「それ、さっきからずっとだよね?」
「…え、まぁ……」
冴えない顔をされたので私も自然と返信を打つ手が止まる。
「ずっとそんな感じ?」
そう言われては完全に優斗の方へと顔を上げるしかなく。「そうですけど…」と言葉にした途端あからさまに嫌な顔をされた。