あなたと私と嘘と愛
私は鼻を高くして言った。
もちろん彼に対しての自信もあった。
なのに、そんな私を見ながら優斗は嘲笑うかのような顔をする。
「完璧な男なんていないよ」
「え?」
「なんか話しだけ聞いてるとそいつ作り物の男みたいだね。尚更心配」
そんな台詞で私を黙らせた。
部屋はこんなに温かいのに、冷気でも入れられたようになる。ほかほかしてた体温が2、3度下がっていく気がした。
「いつか何か剥がれるんじゃない?」
「……剥がれるって何が?」
「化けの皮」
それを当たり前みたいに言うから絶句した。
返す言葉が浮かばない。
こんな時ズバッと返せる性格が羨ましい。
だけど動揺しきった私に優斗の冷たい眼差しが突き刺さり、身動きも出来なかった。
「このままずっとパーフェクトでいてくれたらいいけどね」
「………」
本当に失礼だと思った。
そして気に食わない。
どうしてここまで言われなきゃいけないのか。
こんな人と食事する気力は失せ、ガタッと立ち上がる。
「…坂井さんのことよく知らない癖に……」
ポツリ呟いた言葉に優斗の視線も上がる。
「余計なお世話です!」
こんな言い争いで少し涙目になったのが悔しかった。
そして奥歯をギリッと噛み締める。
「…やっぱり嫌い」
「え…」
「あなたなんて大嫌いっ」
最後冷たく言いきりその場から離れた。
バタン!と寝室のドアを締めベッドへうつ伏せにダイブする。
悔しい。
バカにしてる。
失礼にもほどがある。
少しでも気を許そうとした私がバカだった。
私は目尻に滲む涙を拭い、持っていた携帯を握り締める。
この日以来優斗への苦手意識、嫌悪感は今まで以上に強くなった。