あなたと私と嘘と愛

「今仕事の休憩中。亜香里ちゃんは何してる?」


坂井さんのお決まりの言葉、だ。
彼は手があいたとき、必ず何してるの?という疑問を私に投げてくる。
最近それが分かってきた。
そしてそれを嬉しく思う自分は完璧に恋に突っ込んでるんだと思う。

ふとした瞬間私のことを考えてくれてるんだと思えるからそれが嬉しい。
だから最近の私は携帯を手放せない。

いつ彼から連絡があってもいいように、自分の手もとに置いておくことが習慣づいてしまっている。


「それ、噂の坂井さん?」


そんな私を見て真由もピントきたようだ。
私はうんと頷いて坂井さんにLINEの返信を打つ。


「恋だねぇ」

「恋ですよ」


彼は仕事が忙しいのにも関わらずマメに連絡をくれる。
そして「早く私に会いたい」と毎日のように甘い言葉もくれる。
夜は寝る前に必ず電話をくれて、キュンとする声でお休みを囁くのだ。


「最近携帯いじってる時の亜香里は幸せそうだね。1日どれぐらい連絡とってるの?」

「ん?どうだろう…。気付いた時に、かなぁ?あ、でも夜寝る前はだいたい2、3時間は話したりLINEしたりしてるよ」

「…へ~2、3時間…」

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